松本雄一郎について
マツモト物置だけ、ナゼ「さんかく屋根」なのか?
マツモト物置のキャッチコピーは『オドロキ モノオキ マツモト物置』で、これは製品を作る前から決めていました。『オドロキ』とは今までの物置業界60年の歴史で、誰もできない・考えない・マネできない、この3つの条件をクリアーしなければ「マツモト物置は製品化しない」というデザインコンセプトがあります。
そのデザインコンセプトの中で私が絶対にやりたかった事が、さんかく屋根でした。日本の物置業界では前例がなく、開発の段階で「失敗したらどうするのか?売れるとは思えない、まずは他社同様の四角い物置の方が良いのでは?」と最初は反対意見もありましたが、すべて私の信念に賛同していただき、さんかく屋根のマツモト物置を開発しました。しかし、さんかく屋根にはデメリットも当然あります。
①さんかく屋根にする事で普通の物置より部材点数が多くなり生産時間・在庫管理・生産コストが通常より大幅にかかること、もちろん販売価格にも影響してしまう。②物置の間口が広くなればなるほど、さんかく屋根の角度が広がり、平らになってしまう。逆に間口が狭くなればなるほど屋根の角度が急になり過ぎてしまう。さんかく屋根の角度がバラバラな変な物置など作れるワケがない。その為に物置のサイズ展開がかなり限定されてしまう。という2点です。
物置メーカーの基本的な考えならば、小さいサイズから大きいサイズまであらゆるサイズバリエーションを作り、お客様のいろいろなニーズや設置場所に対応できるようにするのが一般的な考えなのかもしれませんが、さんかく屋根の物置を作りたかった私の考えは、物置で人気のある売れ筋サイズをベースにしたサイズ展開のみで販売出来れば良いという考えでした。他の物置メーカーとは会社の規模も歴史も全く違いますし、その中でマツモト物置を世の中のお客様に認めていただくには今までの「物置の考え方・作り方・販売方法・販売代理店」の取り組み方とは全く違うオドロキある物置を作る必要がありました。
マツモト物置がスタートして10年が経過した中で、いろいろと考えるとマツモト物置はサイズバリエーションに限って言えば、すでに限界がきているのかもしれません。これ以上、大きくも小さくもすることができないワケですから。
今の限界を壊して、次の展開を図るためにも今までのマツモト物置のデザインとは違うMARMOの新製品PHANTOM×SPECTERが新しいマツモト物置の可能性を広げてくれるという部分で私自身も楽しみです。
「マツモト物置は丈夫なのか?」の質問について
よくお客様から「マツモト物置は丈夫なのか?」というご質問をいただきます。
一番簡単に丈夫さ・頑丈さを分かっていただくのは実際にEXHIBITION HALLに来ていただき、マツモト物置を直接見て触っていただくことだと思います。そうすれば、丈夫さ・頑丈さを解っていただけるはずです。
また、その丈夫さ・頑丈さを数値化したものが製品重量となります。マツモト物置のカタログには品番のすぐ下に製品重量を記載しています。製品重量をご確認いただければマツモト物置がどれだけ鋼板を使用して重い物置なのかが解っていただけるかと思います。例えば、同じ価格20万円の物置でも製品重量が200kgの物置と280kgの物置では製品重量が280kgの物置の方が鋼板を多く使用しているので圧倒的に丈夫になります。マツモト物置はそのような製品重量で丈夫さ・頑丈さにとても自信があります。
そもそも私が物置を作ろうと思った時に低価格・低品質で人気物置のコピーを作るという考えは最初から1%も無く、「物置は丈夫・頑丈でなければ良い物置とは言えない」という考えのもとに作り上げた物置がマツモト物置です。そして、マツモト物置に限らず、メイドインジャパンの丈夫な物置には各パーツの接合部分の強度を最大限生かす為、ネジ板を採用しています。ネジ板が有るか無いかでは丈夫さ・頑丈さ、長期間の耐久性も明らかに変わってきます。そういう所も含めて、『オドロキモノオキマツモト物置』のオドロキとはデザインだけでなく丈夫さ・頑丈さ、製品重量も含めてオドロキの物置です。
物置のデザインや色の好みは十人十色ですが、丈夫さ・頑丈さ、耐久性は物置にはとても重要な事なので、そういう部分も含めてマツモト物置の事を知っていただけるととても嬉しいです。
良い物置の条件とは何か?
私が考える良い物置とはマツモト物置に限らず『お客様がどんなモノをしまうのか、どんな環境の場所に設置をするのか』で大きく変わってきます。そのニーズに応えられるのが良い物置だと思います。「丈夫さ・頑丈さ、耐久性が有る、使いやすい」などの基本的な特長が良いのは物置として当たり前のことです。
例えば勝手口の奥に物置を設置する場合は右開きの方が良いのか、左開きの方が良いのか、重く出し入れしにくいモノを入れるのであればシャッタータイプの物置の方が出し入れのストレスが無くなる。中にホコリを入れたくなければ2重構造の物置が良いなど、それぞれの環境に合った物置が一番良い物置になると思います(シャッタータイプや2重構造の物置はイナバ物置とヨド物置にはあります)。
「サビに強いか・弱いか」に関して言えば、海沿いに置く場合は内陸部に比べてどうしても潮風にさらされ、サビやすくなります。夏場は朝から晩まで陽が当たるか当たらないか、土の上に設置するかコンクリートの上に設置するのかでも湿度の問題で土の上の方が物置が痛みやすくなる。また物置の近くの植木から葉が屋根の上に落ちて溜まらないかなど、状況は様々で住宅事情や自然環境によって変わってきます。
あとは、どれだけ高耐久の物置であっても組み立て時に物置が少しでも斜めに歪んでいたりすると製品の寿命を縮める事にもつながります。お客様とお話をする時にまず私たちは「お客様が物置に何をしまうのか、どんな場所に設置して、どのように使うのか」をしっかりとヒアリングさせていただきお客様の環境に合う物置を提案させていただいております。そこで選んだ物置がお客様にとって良い物置になります。
マツモト物置オリジナルフラッグ
マツモト物置で大切にしていることは『自分自身が面白いか面白くないか』、自分がやりたいと思った事はカタチにしないと気が済まない性格なので、マツモト物置に合う最高に格好いいシンボルになるモノは何かと考えて、思いついたのがオリジナルフラッグでした。全く実用性のないモノもあってもいいのではないかという考えでデザインしました。
売れるから製品化するのではなく、面白いから製品化する。この面白さを理解していただき、気に入っていただいたお客様に買っていただければとても嬉しいです。
SDGsへの取り組みを積極的に開始
マツモト物置にはいろいろな部材が使用されていますが輸送中に壁がバラバラになったり、部材同士がぶつかって傷が付かないように壁押さえ固定フックというプラスチックを成形したモノを使用して梱包しています。物置の組み立て工事が終わってしまえば、壁押さえ固定フックは不要になるので廃棄していました。
私たちが地球や環境の為にできる持続可能な事は何かと考えた結果、これからは壁押さえ固定フックにマツモト物置のロゴマークを入れて、使用済みの壁押さえ固定フックは全て回収して工場に戻し、洗浄してからまた使用するということで廃棄物発生の抑制になると考え、2021年10月から壁押さえ固定フックのリサイクルを開始する事にしました。
このような取り組みはこの業界では初めてのことです。マツモト物置は製造から施工まで自社一貫の体制で行っているのでリサイクルする事を可能にしました。この壁押さえ固定フックの取り組みは第1弾として、このような観点から地球や環境にできる持続可能なリサイクルをこれからも積極的に行っていければと考えております。
TSUKUBA EXHIBITION HALL
埼玉県新座市にある事業本部に続き、2番目に歴史があるのがつくば事業所。昭和54年、私がまだ4歳の頃、つくば事業所の土地を購入するのに家族と一緒につくばに見に来た時の事をなぜか覚えています。私は遊びに連れて行ってもらえるものと思い、父の車に乗り、どこに行くのかと楽しみにしていました。
しかし、到着して車から降りるとそこは何もない草がボーボーに生えた場所でした。遊園地や公園をイメージしていた私は『どうしてこんな所に連れて来たの?』と父に怒って文句を言った記憶があります。
時が過ぎ、つくば事業所の老朽化の事もあり全て更地にして建て替えようという事になりどのようにするかと話し合った結果、マツモト物置だけの展示場を作る事になりました。建物から外構工事まで全てを自分の感性で表現したいという思いもあり、全て自分自身で考えました。カタログやWEBSITEでは出来ないマツモト物置の世界を作りたい、物置の展示場だからと言って物置だけ展示しても面白くないし、オシャレなショップみたいなものを作っても世にあふれている。そこで全く周りの目は気にせず、自分がやりたい事を表現してどう思われるのか、色々と考えた結果、テーマはNYC郊外にある日本から来た物置展示場を最初にイメージしました。
ただ物置を買うだけではなく来たお客様には『楽しかった、来てよかった』と言ってもらえるようなことを自分なりに表現したのがこのTSUKUBA EXHIBITION HALLです。
敷地内には鯉のぼりや私自身の等身大フィギュア、ガチャガチャ、マツモトアパレルを置いてみたりと、やりたい放題やっていますが、結局は来ていただいたお客様にまずは“マツモト物置のファン”になっていただきたい、まずその為には自分が本気で楽しまないと絶対相手には楽しさが伝わらないと思っています。私はよく“物置を好きで作る人と物置を仕事で作る人とでは全く違う物置になる”と社員にも伝えていますが、私の場合は物置を好きで作っている側の人間なので、ただ物置を見てもらって、カタログを見てもらって、買っていただければそれでいいと言う事は思いません。マツモト物置は2021年の10月で9年目になるまだまだ若いメーカーですが、フジ産業株式会社という45年以上の歴史を築いてきた会社から生まれたブランドであり、そのブランドストーリーや物置への思いも沢山知っていただいた上でマツモト物置のファンになっていただけたら嬉しいです。自分たちがどれだけ『マツモト物置っていいですよ!』と言っても、実際に買って下さったお客様が『マツモト物置を買ってよかった』と言ってくれるコメントには絶対に勝てません。
買って終わりではなく、買っていただいてからでもお客様には応援していただきたい、買わなくてもファンになっていただきたい。
TSUKUBA EXHIBITION HALLでは物置を買うとか買わないではなく、まずはマツモト物置という世界観とブランドストーリーを楽しんでいただけたら嬉しく思います。これからもマツモト物置をよろしくお願いいたします。
日本赤十字社に寄付
マツモト物置の売り上げの一部を自然災害・病気などで苦しむ人を支援する日本赤十字社に寄付させていただきます。
本来はマツモト物置BLACK BADGEシリーズの売り上げの1%を日本赤十字社に寄付していましたが、私たちの働く業界は自然災害が発生したりすると復興・復旧のお手伝いで仕事が多くなります。
2011年に起きた東日本大震災の時も私たちは被災地へ行き、大型倉庫の設置や仮設住宅に住む被災者の方たちに使用していただけるように物置を設置させていただいたりと仕事が忙しくなりました。そういう仕事をさせていただく時は特に私の気持ちとしては、少しでも世の中に奉仕をするというか、世の中の役に立つような事を個人的にも、フジ産業株式会社という会社としてもやっていきたいという強い想いが生まれ、今回から全てのマツモト物置の売り上げの一部を日本赤十字社に寄付させていただく事にしました。
日本の物置は世界トップレベル
私は日本の物置の品質や耐久性、気密性は世界トップレベルだと強く思っています。
デザインは十人十色、例えるならベンツが好きな人もいればレクサスが好きな人もいますが品質に十人十色はない。物置は使用する人の大切なモノを入れるものだから、頑丈でなければいけないと思います。高温多湿で台風も来る日本では頑丈で気密性が高く、更には住宅事情を考慮した引き戸タイプの日本製物置が最適です。頑丈な日本の物置には各パーツの接合部分の強度を最大限生かす為に各メーカーが独自の専用ビス・専用ネジ板を採用しています。
このビスとネジ板を採用しているのは世界でも日本製の物置だけです。海外の物置やプラスチック物置と比較するときは、こういう細かい部分まで使う人の事を考えた日本の物置文化・精神を知ってもらいたいと思います。
物置を好きで作る人と仕事で作る人では全く違う物置になる
私は決して良い社長ではないし、良い人間でもない。私には批判も賞賛もある。でも物置の事しか分からないし興味もない。自分にはマツモト物置しかなかった。マツモト物置が自分の人生を救ってくれた。物置もカタログもWEBやEXHIBITION HALL もすべて自分で考えて、絶対に妥協しない完璧主義の仕事が誤解や軋轢を生んでいる。
仲間であっても理解されないことも多い。ただ、私はお客様に楽しく、マツモト物置を購入していただく為に1つも妥協や諦めはしたくない。世の中を良くすることはできないが、物置を良くすることはできると思う。誰よりも物置が好きだから。